FDCについて

設立背景と設立趣意

設立背景と設立趣意 Background and Purpose

設立にいたる2つの背景

2010年11月、民間企業数社と地方自治体(福岡市、福岡県)、九州大学、経済団体などで官民連携主体設立準備会を発足させ、翌2011年4月、FDCは設立されました。
官民の壁などに阻まれ、他地域では産学官連携組織の立ち上げ困難だとされるなか、FDCが日本における先進的プラットフォームとして短い時間で設立に至った背景には、『国際地域ベンチマーク協議会(IRBC)総会を福岡で開催』と国が打ち出した『官民連携主体による地域づくり推進事業』という2つの出来事がありました。

国際地域ベンチマーク協議会(IRBC)総会を福岡で開催

2010年に福岡市で開催された国際地域ベンチマーク協議会(IRBC)年次総会において、シアトルなど成長している世界的な都市が取り組んでいる都市圏単位での成長戦略や産学官民連携の仕組みを学び、産業政策や都市政策が基礎自治体という単位からひとつの経済圏を構成する都市圏単位へと移行している世界的な傾向を認識しました。
そのうえで、福岡都市圏における持続的な地域の成長には、成長戦略を牽引する官民連携組織が必要であるということが福岡市と地元財界に実感を持って共有されることとなり、FDCの設立機運が一気に醸成されました。
IRBCは2018年に解散しましたが、人口100 万人から300 万人規模のバルセロナやシアトル、メルボルンなど世界10都市が参加し、国際競争力を高めることを目的に、産業政策や都市政策の成功例、プロジェクトなどを互いに学び合う総合学習する国際ネットワークであり、日本からは唯一、福岡市が参加していました。

国土交通省「官民連携主体による地域づくり推進事業」

2011年から2か年にわたって、地方活性化の源泉を官民連携に見出すことを目的として国土交通省国土政策局が進めた『官民連携主体による地域づくり推進事業』(地域の内発的な成長の向けた国による法的支援制度の構築を行うためのモデル事業)にFDCが採択されました。
官の縦割り/横割りの制約や、民の政策決定過程への関与の弱さを克服し、地域の官と民が連携して自発的に地域の活性化を進めることが必要だとして、官民連携主体が地域戦略の策定段階から実施に至るまで一貫して関与することができるよう、国による支援制度の構築を行うモデルケースとしてFDCが位置付けられました。
事業を通じ、国土交通省と民間の政策決定過程への関与のあり方を議論しながら福岡都市圏の地域戦略を実際に策定したことで、FDCや地域戦略の役割と意義が洗練されていきました。 また、政策決定過程への民間の関与が地域の活性化につながることを会員と共通認識を持つことができるなど、この2年間の経験がFDCの持続的な運営の素地を形成することとなりました。

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設立趣意

「設立趣意書」には、国際競争力強化による福岡都市圏の持続的な成長に向けてFDCが目指すべき方向や取り組む姿勢などが地域の成長を願う真摯な情熱と確固たる決意のもとに書き記されています。
趣意書で紡いだ地域に寄せる無垢な思いは今なお褪せることなくFDCに生き続けています。

福岡地域戦略推進協議会設立趣意書

~国際競争力強化による福岡都市圏の持続的な成長に向けて~

アジアと日本を結ぶ玄関口に位置する福岡は、九州の交通および商業・ビジネス・文化の拠点として、これまで順調に発展して来た。 そして、今日では、豊かな自然環境、充実した都市の利便性、美味しい食事、奥深い歴史・文化など、暮らしの質の高さで世界的に高い評価を得ている。

しかし、今後は国内市場の拡大が望めない状況において、福岡の活力を維持強化していくためには、 国際競争力を飛躍的に高めて、地域経済をグローバル化し、とりわけ成長著しいアジアの内需を取り込んでいくことが必要である。

そのためには、世界各地から多様な人材を惹き付けることが起点となる。 そして、国際的なビジネスを展開する人々が臨界を越えて集まり、地域の中核となって人材の誘致、 既存産業の進化、新たな雇用創造といった内発的な成長に繋げていく戦略が必要である。 そのような取組みには、公共的かつ機動的な体制づくりが欠かせない。 すなわち、産学官民が一体となった公共的な場(プラットフォーム)において、地域のリーダーシップの下に世界的な英知を結集していくために、 戦略の策定から実施までを一貫して行う社会的な実務専門家(プロフェッショナル)集団を置く体制づくりである。

福岡地域戦略推進協議会は、そのような体制として設置された。 私達は、責任を持ってこの場に参画し、個々の利害を越えて全体最適の視点から、徹底した地域診断を踏まえて戦略オプションを抽出し、 優先順位を付けた上で、相互に連携しつつスピード感を持って戦略を実行していく。 そして、私達は、一つでも多くの関係者がこの場に参画し、福岡の発展のために協働していくことを希求する。

この取組みの成果は、福岡の持続的な成長に留まらない。 地域に蓄積された戦略の企画推進力を他地域に水平展開することで、九州全体の一体的な発展、 ひいては日本全体の成長に繋げていくことが可能である。そして、このような内発的成長への取組みは世界中で求められており、 人材を起点とした新しい地域成長モデルを福岡から世界へと発信することで、人類全体の発展に貢献することを目指すものである。